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表彰事業

2025年度表彰企業のご紹介

受賞企業
進工業㈱ / ㈱ナベル
三和油脂㈱ / 正田醤油㈱ / ㈱コシナ / 日清工業㈱ / 大峰堂薬品工業㈱ / 協和ファインテック㈱ / 三光㈱ / ㈱ニシイ / ㈱丸信
エコサイクル㈱ / ㈱スタイルブレッド / ㈱誠和
㈱ニッセー / Rapyuta Robotics㈱
進工業㈱ / ㈱ナベル
三和油脂㈱ / 正田醤油㈱ / ㈱コシナ / 日清工業㈱ / 大峰堂薬品工業㈱ / 協和ファインテック㈱ / 三光㈱ / ㈱ニシイ / ㈱丸信
エコサイクル㈱ / ㈱スタイルブレッド / ㈱誠和
㈱ニッセー / Rapyuta Robotics㈱
グランプリ
進工業㈱
代表者岡本 直用
所在地京都府 京都市下京区四条通烏丸東入ル長刀鉾町8番地 京都三井ビルディング8F
事業薄膜チップ抵抗器の製造販売
設立1964年7月
資本金1億円
年商83億円(2025年3月期)
従業員494名
 1964年電子部品大手の技術者等3名によるスピンオフ創業以来、一貫して薄膜技術の高性能化に取り組んできた。創業直後の国家PJのスパコン用薄膜抵抗器で礎を築き、85年には世界初の表面実装の薄膜チップ抵抗器の開発・量産に成功。その後も小型化・高性能化を追求し、世界初のポータブル音楽プレーヤーやビデオカメラ、携帯電話等に多く採用され事業を拡大。
 2013年に世界トップ水準の抵抗器(抵抗偏差±0.01%、抵抗温度計数±1ppm/℃)を開発し、24年には市販部品で日本企業初のNASA認定サプライヤに選ばれるなど世界トップレベルの技術力を磨き続け、確固たる地位を築いている。
 2000年代以降海外進出を加速し、02年中国蘇州の生産子会社や03年ドイツ販売子会社など、世界各地に販売子会社や代理店網を構築。NASAやテスラ等にも供給するなど売上の6割超は輸出が占めるグローバル企業に成長している。
 また避難所機能を持つ小浜工場や地域の保育園への積木寄贈、海岸清掃活動など地域貢献や環境保全活動にも積極的に取り組む。
 「100億宣言」し新工場での生産力増強や宇宙等の新市場開拓も進行中。情報通信、基地局等の社会インフラ、EV等の車載関連、医療、航空など幅広い産業のイノベーションに不可欠な最先端技術を供給し、「セカイの進化を進める会社」として今後の更なる発展が期待できる。

㈱ナベル
代表者南部 邦彦
所在地京都府 京都市南区西九条森本町86番地
事業鶏卵の自動洗浄選別装置、非破壊検査装置、品質分析装置の開発・製造・メンテナンス
設立1977年3月
資本金8,200万円
年商92億円(2025年3月期)
従業員235名
 1964年家電生産ラインの制御盤製造で創業。75年卵パックの蓋の溶着シール機を日本で初めて開発し鶏卵機械メーカーとして歩み始める。
 95年にロボット型洗卵選別包装装置、98年には世界初のフーリエ変換を利用したひび卵検査装置など続々と自動化機器を開発。更に05年に10年来の構想を経て自動倉庫型システムを発表。タワー型倉庫を挟み選別・包装工程を切り離すことで生産効率を格段に向上させ、GPセンターの大型化・効率化・多品種対応を可能にし、現在ではデファクトスタンダードとしてGPセンター運営に不可欠なシステムとなっている。
 当社の自動洗卵選別包装装置のシェアは国内では圧倒的トップの75%で世界でも2位。78の国と地域で利用され売上の3割を輸出が占める。
 集卵から洗卵、検査、選別、パック詰め、ラベル貼りまで一連の自動化機器を創出。毎時24万個の処理を可能とし、鶏卵業界における労働力不足課題に果たしている役割は大きく、またひび卵検査装置を始め高速高精度な検査技術は卵の安全性向上に大きく寄与してきた。
 アジアや北米を始めとした海外市場拡大を目指して「100億宣言」し、新工場建設や北米市場に合う大型機開発も進行中。創業より研究開発を重視し厚い陣容を擁するとともに知財戦略も強みに、世界トップレベルの開発力・創出力で、今後の更なる発展が期待できる。

優秀企業賞
三和油脂㈱
代表者山口 與左衛門
所在地山形県 天童市一日町4-1-2
事業動植物油脂製造(こめ油製造)
設立1949年10月
資本金1億円
年商64億円(2025年5月期)
従業員138名
 1949年こめ油製造で創業。高度成長期の需要増に伴い、64年仙台、68年郡山に工場を新設し生産量拡大を果たすも、安価な外国産の菜種・大豆油等が台頭し油価格が暴落。大手菓子メーカーなど業務用需要に支えられ事業を維持する中、「こめ油を日本のオリーブ油に」との想いから、同業21社と技術開発に着手。2000年に圧搾製法を確立し、07年には高品質こめ油の商品化に成功する。
 こめ油のおいしさや機能性を紹介する全国放送のテレビ番組が契機となり、健康志向層を中心に需要が反転。信頼性と効率性向上の為、17年にHACCP対応の無菌充填工場を立ち上げ、21年に北海道工場新設により生産能力を増強し、直近5年間で売上高は1.6倍超に。宮城県に脱脂米ぬかを原料とした肥料工場も稼働するなど着実に業容を拡大中。
 創業以来75年超に亘りこめ油と向き合い、淘汰の波を乗り越えて全国で5社、北海道・東北では唯一のメーカーとして、原料から完成品までの一貫生産を手掛ける。新設のR&Dセンター起点に産学連携も進め、搾油技術や米ぬか由来の肥料・新素材・食品・美容関連製品の開発など、事業の源流である農業の振興やSDGsに資する事業分野の拡大にも取り組む。地域に根差しこめ油と米ぬかを利用したイノベーションに挑戦する企業。今後の更なる発展が期待される。

正田醤油㈱
代表者正田 隆
所在地群馬県 館林市栄町3-1
事業醤油・加工調味料等の製造・販売
設立1917年12月
資本金1億円
年商284億円(2024年11月期)
従業員464名
 1873年創業の醤油醸造老舗企業。1927年に研究所が完成し、醤油製法の特許取得など早期より研究開発に注力し製品ラインを拡充する。72年機械化を進めた醤油工場、89年に加工調味料工場を新設し生産能力を拡大。93年には醤油の生産効率をさらに高めた館林東工場を稼働し、減塩製品や業務用OEM対応を強化し発展する。
 研究職約70名による「発酵・調味・包装」技術を核に「家庭用・ギフト用・業務用」の醤油やソース、液体・粉末調味料、減塩製品等を展開。顧客志向の味付けや包装など年間数千種類、約30億食に及ぶ特注品・OEMに対応する。
 89年に売上高100億円超、97年には200億円を突破し、英国調味料メーカー買収など海外市場開拓にも注力し業績は順調に推移。またERP導入やDX推進など様々な改革に取組み、伝統的経営から先進的経営への脱却・変革に挑戦中。
 国の登録有形文化財に認定された正田記念館・稲荷神社や県内初ネーミングライツの「正田醤油スタジアム群馬」など文化保存やスポーツ振興のほか、館林市との災害時の自立電源と飲料水供給の協定締結など地域貢献意識も高い。
 創業150年を超え醤油出荷量で国内第3位。きめ細やかな顧客対応で独自の地位を確立している。伝統を守り継ぐ使命感と時代のニーズをいち早く形にする精神のもと、地域に根差した老舗企業として今後の更なる発展が期待できる。

㈱コシナ
代表者小林 孝文
所在地長野県 中野市吉田1081
事業光学精密機器の開発・設計・製造・販売
設立1959年2月
資本金6,850万円
年商85億円(2025年1月期)
従業員423名
 1959年レンズ研磨加工工場として創業。徐々に川上川下に事業領域を拡げ、68年のガラス溶解工場稼働で写真用カメラ及びレンズの一貫生産体制を確立。翌年にはオランダに現法設立し輸出も推進。知名度の向上とともに海外カメラブランドのOEMも手がける。
 また監視カメラ用レンズ受注を機に業務用分野にも参入。90年代初頭のプロジェクターの急速な普及を背景に投射レンズやプリズム等の中核部品の需要も拡大し、主要事業に発展する。
 長野県内4事業所で一貫生産体制を築き、ミクロン単位の寸法精度、均一な光学精度のレンズを製造し、国際宇宙ステーションの観測用レンズにも採用されるなど技術力は世界水準。
 業務用高輝度プロジェクター投射レンズは国内トップ約5割のシェアを有し、写真用交換レンズは自社企画開発の「フォクトレンダー」ブランドを軸にマニュアルフォーカス(MF)レンズに特化し、豊富なマウントと様々な特徴を持ったレンズでユーザーの高い評価を得ている。
 「100億宣言」し高精度非球面レンズの加工技術や組み立て技術を磨き上げ、半導体露光装置向け光学製品の提供も開始している。
 国内生産拠点の空洞化が進む中、「メイド・イン・ナガノ」を貫き、県内サプライチェーンを育み、北信州の地域雇用を支えるニッチトップとして今後の更なる発展が期待できる。

日清工業㈱
代表者滝内 史貴
所在地富山県 富山市八尾町保内2-3-4
事業両頭平面研削盤及び超仕上盤の設計・製造・販売・メンテナンス
設立1979年7月
資本金9,500万円
年商37億円(2025年6月期)
従業員94名
 1979年大阪で創業し、翌年にセラミック用の立型両頭平面研削盤を独自開発する。同研削盤はワークを両側から挟み同時に2面を研削する機械でブレーキディスク等の加工精度向上に貢献し、両頭研削盤市場が大きく拡大する。
 バブル時に工場移転し生産能力を拡充する一方で強気経営が裏目に出て苦境に陥るが、工場長が新社長に就任し技術志向の堅実経営路線で立て直す。その後は安定成長軌道に乗り2012年に主軸組立専用棟、14年に技術センターの新設など事業拡大と技術創造への投資を加速。近年は海外見本市に積極出展し、22年に米国現法を設立するなど海外市場開拓に注力している。
 この業界は世界でも数社のニッチ分野だが、ブレーキ部品やEVマグネット部品等の研削で重要な役割を果たし、納入先は世界有数の大手自動車部品メーカーがズラリと並ぶ。大型両頭研削盤で世界トップシェアを誇るが、その強みは比類無き剛性と難削材でも高精度に加工できる性能。そしそしてその心臓部のスピンドルは現代の名工(88才)が施すキサゲ加工(摩擦を減らすため、微細な窪みをミクロン単位で付ける手作業の加工技術)など職人技が支えている。
 中小ながらも匠の技で世界市場で高いシェアを誇り、精密加工技術の革新と品質向上に取組み続け、超鋼インサート等自動車以外の分野も開拓中。今後の更なる発展が期待できる。

大峰堂薬品工業㈱
代表者辻󠄀 将央
所在地奈良県 大和高田市根城柿574
事業医薬品製造
設立1947年1月
資本金4,000万円
年商112億円(2025年9月期)
従業員279名
 1900年創業。奈良大峰山系に近く修験道と結びつきの深い薬草文化のもと、「行者丸」など地域に根差した伝統的な薬作りが出発点。
 47年に法人化し、初代社長は天然物・薬草の造詣深く生薬から漢方薬のエキス抽出に成功。68年漢方エキスプラントを新設し本格的に漢方薬市場に参入する。糖衣技術も向上させ配置薬中心に様々な漢方エキス錠剤を上市。
 80年前後には漢方薬保険適用が大幅に拡大し、全国の医療機関へ供給され業績は大きく伸長。その後の大口取引先破綻による危機も乗越え、現在では医療用を中心にドラッグストアや通販向けの一般用漢方錠剤のOEMで独自のポジションを確立している。
 競争優位を支えるのが研究開発から原料調達、製造、品質管理及び品質保証体制まで自社で行う一貫生産体制。特に造粒・打錠・コーティングの錠剤化技術やエキスの濃縮技術は業界でも評価が高く、多くの製薬会社とOEM提携を行い、医療用漢方錠剤の国内シェア75%と圧倒的な地位を誇る。
 漢方薬市場は健康志向の高まりや高齢化社会の進展等を背景に拡大中で、服用し易く管理し易い錠剤の提供は医療現場はもとより未病や予防医療の点でも極めて貢献度が高い。
 近年ドイツ初の許認可を取得し和漢薬の国際化にも取組み、今後の更なる発展が期待できる。

協和ファインテック㈱
代表者橋本 宗幸
所在地岡山県 岡山市東区金岡西町948-9
事業化学繊維機械等製造、医療機器製造
設立1960年7月
資本金5,950万円
年商48億円(2025年2月期)
従業員244名
 1955年大手化繊メーカーの協力会社として化合繊設備の設計・製作等で創業。75年ギアポンプの事業化により現在に至るコア技術を確立し、翌年には同技術を応用したVOC回収装置で環境分野にも進出するなど事業を拡大する。
 90年代に入り安価な海外化繊の流入で業界全体が縮小する中、ギアポンプの精密化に邁進。付加価値の高い中空糸やフィルム向け精密ギアポンプ開発や製造ライン全体の受託など事業の高度化・範囲拡大に取り組む。さらに2001年にはダイアライザの中空糸設備の設計製造から発展した人工透析装置のODM事業で医療機器分野にも参入し、現在の主要事業体制を確立する。
 精密ギアポンプは世界で数社のニッチ分野だが顧客仕様に合わせた設計開発は当社のみ。低粘度や固形粒子にも対応し、ギアとケース間をミクロン精度で調整した正確な吐出量、高度な吐出効率が強み。近年は同技術を応用した新領域開拓に経営資源を集中し、プラリサイクルに利用されるインライン粘度計や接着剤塗布装置等の計測機器や自動車分野のほか、通信や電子など様々な業界への展開を加速している。
 世界でも数少ない精密ギアポンプメーカーとして長年に渡りコア技術の研究開発と高度化に取組み、糸から環境、医療そして様々な産業へとその技術の応用展開を推し進めてきた企業。今後の更なる発展が期待できる。

三光㈱
代表者三輪 昌輝
所在地鳥取県 境港市昭和町5-17
事業産業廃棄物処理
設立1979年9月
資本金4,800万円
年商92億円(2025年9月期)
従業員336名
 1972年出光の油槽所管理業務で創業。施設廃止に伴い88年鳥取県初の産業廃棄物焼却施設を建設し事業転換。91年医療廃棄物の焼却義務化を機に東京営業所を開設。都内初の積替保管許可を取得し輸送効率を高め処理量を拡大する。
 99年ダイオキシン特措法制定による業界転換期に年商規模の資金を調達し、2001年最新の焼却炉3基を導入して処理能力を倍増。13年にはPCB廃棄物の無害化処理の大臣認定も取得する。
 循環型社会基本法制定後はリサイクルに注力。地域初の「RPF」JIS認定取得は品質の信頼性を高めるとともに従業員の意識が「処理からものづくり」へと変わり、組織活性化の契機となる。
 全国34都府県と2都市の収集運搬許可と13営業所の広域網で業界最大級の品目を扱い、独自の混合焼却方式等で山陰地域最大の年間約18万tを処理。廃棄物の循環利用率は8割に達する。 「100億宣言」のもと、排熱を活用した汚泥の乾燥・炭化処理や海水加温による陸上養殖、隣接企業への蒸気供給などを事業化。排熱発電で業界初のJクレジット認証も取得するなどサーキュラーエコノミーの地域中核企業としての展開を加速する。山陰27団体と災害時の廃棄物処理や電力供給、感染性廃棄物の優先処理等の協定締結など近隣住民や漁協・行政の信頼を礎に「地域にとってなくてはならない」総合環境企業として、今後の更なる発展が期待できる。

㈱ニシイ
代表者西井 一史
所在地福岡県 福岡市博多区東比恵3-4-6
事業塗料及び塗料関連商品販売、設備機器設置工事
設立1947年12月
資本金4,800万円
年商247億円(2025年10月期)
従業員269名
 1929年に九州初の塗料専門販売店として創業。建築用塗料を中心に販路を広げ、大手塗料メーカーの紹介で自動車塗料分野にも参入。戦後の塗料需要増を受け、九州を起点に全国へ販売拠点を設け、事業基盤を形成する。
 バブル崩壊で景気が急減速する中、コスト競争で最大顧客の自動車上塗り・中塗り工程取引を失い経営が逼迫するも、塗装技術を含めた提案により下塗り工程管理を継続し窮地を凌ぐ。これを機に、顧客の生産ラインの塗装工程を仕様設計から現場技術支援、メンテナンスまで一括して担う事業に注力する方針を明確にする。
 現在では全国22拠点と関連7社の連携により塗料卸売業界で売上高第3位、利益額第2位を誇る。仕入先は2千社を超え、顧客は自動車・建築・造船分野を中心に6千社以上に及ぶ。
 エアスプレーや粉体・エアレス塗装など全7コースの顧客向け塗装スクールには年間100名超が受講しその技術向上に貢献するとともに、最新機器を導入したサポートセンターで塗装・乾燥工程の効率化や低炭素化の提案を通じた啓発活動を行うなど、業界全体の発展に取組む。 「塗料は塗装されて初めて価値を生む」という信念のもと、塗装ラインの設計・施工事業を展開。顧客との信頼関係を基盤に価格競争を克服した「塗装エンジニアリング企業」として、今後の更なる発展が期待できる。

㈱丸信
代表者平木 洋二
所在地福岡県 久留米市山川市ノ上町7-20
事業包装資材販売、シール印刷加工、紙器印刷加工等
設立1968年6月
資本金4,500万円
年商127億円(2025年2月期)
従業員624名
 1968年しいたけ加工卸会社から分離独立し進物用木箱の下請製造で創業。その後食品用包装資材の卸売を始め、さらに77年にシール印刷業に参入し、現在の主要事業の基盤を築く。
 90年にはM&Aによりオフセット印刷による紙器印刷加工にも参入。翌年に印刷事業を新工場に集約し相乗効果を高めるとともに、九州中心として営業所も続々と開設し業容を拡大。現在39期連続の増収を継続している。
 包装資材は1万点超を700社以上から仕入れ、全国15拠点で多品種・小ロット・短納期を実現。
 シール・ラベル印刷は約80台の印刷機・加工機で素材・サイズ・形状・糊・表面加工まで幅広く対応し技術力と生産量は西日本屈指。紙器製造は木型のCAD設計から自社で行う。両事業とも大手並みの設備規模を誇り、約30名のデザイナーも強みに一貫生産体制を整えている。
 現社長就任後は新たにソリューション部門を立上げ、取引先の業績向上に向けた「お役立ち」事業を展開。専用サイト等で販促支援はもとより食品検査、輸出、採用など食品業界の様々な課題解決をサポートしている。また、病児保育可能な企業主導型保育園の運営など地域課題解決にも積極的に取り組む。
 商社と製造の両機能を融合させ、独自の事業戦略を築く食品業界向けトータルパッケージ企業として、今後の更なる発展が期待できる。

特別賞
エコサイクル㈱
代表者シュリハリ チャンドラガトギ
所在地東京都 中央区日本橋小綱町17-10
事業土壌汚染調査・対策工事、水処理、浄化剤製造
設立1999年5月
資本金79百万円
年商52億円(2025年2月期)
従業員94名
 1999年セーフテクノ社環境部門から分社設立。翌年、インドで博士号取得後に千葉大で土壌微生物を研究していた現社長が入社、さらに土壌汚染対策法施行も目前であったことから、バイオ技術による土壌汚染対策分野に本格参入。
 02年有機塩素化合物のバイオ浄化剤「EDC」を開発し、同剤によるバイオレメディエーション(バイオ浄化工法)を特許申請。同工法は「原位置対策」の一つで土壌中の微生物に栄養源を与え活性化、VOC類を分解し土壌や地下水の汚染を浄化するもので実用的な選択として技術を確立し普及を推進。掘削等に比べ低コストかつ稼働中工場でも適用可能等の強みあり。
 06年現社長就任し14年には施工部も設立。現在はバイオ浄化のほか化学酸化分解や封じ込め、土壌洗浄、不溶化など多様な技術も導入し、土壌調査~工法選定~施工~行政対応まで自社で完結するワンストップ体制も強みに、業績は右肩上がりに拡大中。
 当社技術で土壌汚染対策のコスト・手間・工期のハードルを下げるとともにコストキャップ保証も導入し、中小工場や個人クリーニング店でも浄化に取組み易くしたことは社会的意義が高い。またブラウンフィールド問題(汚染で塩漬けとなった土地)や工場排水のPFAS対策にも取り組むなど社会課題解決に貢献しつつ、今後の更なる発展が期待できる。

㈱スタイルブレッド
代表者田中 知
所在地群馬県 桐生市広沢町1-2525-2
事業パンの製造・販売
設立2006年5月
資本金1億円
年商46億円(2025年8月期)
従業員450名
 大正期から菓子屋を営み1930年に製パン所として創業。現社長入社時の90年頃はベーカリーと売店の3店舗で学校給食や地元向けに定番パンを販売していたが、フレンチシェフからの食事パンの依頼を機に渡仏。本場の味に感動し、ひたむきに製造に取組むが10年間は不振。
 転機は、1999年のパン業界を視察するアメリカ海外研修。焼きたての美味しさをそのまま閉じ込める製法に可能性を見出し、帰国後奮闘し5年。2006年に㈱スタイルブレッドとして本格的に冷凍パン事業をスタートする。当初は認知度低く苦労するも、東京の高級レストランやホテルでの採用を皮切りに急速に取引先が拡大し、現在5000社以上に採用されるほど焼成冷凍パンメーカーのパイオニアとして成長。
 25年には新工場も稼働し、最大40万個/日を生産。パンを焼き上げた後に急速冷凍させ焼きたての味と香りを長期間保ち、必要な量だけリベイクできる。さらに当社は原材料に拘り、群馬県産を主体とした国産小麦や自家製の桐生酵母を用いて“ジャパニーズプレミアムブレッド”を製造・販売している。
 人材ひっ迫するホテルレストラン業界において仕込や焼成を不要にし、フードロス対策にも寄与する当社製品は人気が高く需要が拡大中で、さらには海外市場開拓にも取り組んでおり、今後の更なる発展が期待できる。

㈱誠和
代表者竹内 康博
所在地栃木県 下野市柴262-10
事業施設園芸用の環境制御機器、養液栽培システム、省エネ・省力機器等の製造販売、流通事業構築
設立1971年4月
資本金9,980万円
年商52億円(2025年3月期)
従業員157名
 1968年プラ成形品製造で創業。70年ハウス農家から省力化の相談を受け保温機能付自動カーテン装置を開発したことを機に、翌年当社設立し農業用機械設備メーカーとして歩み始める。
 70年代石油危機による燃料高騰で省エネ効果の高い同装置の売上が急増し、さらに86年のGATTウルグアイラウンドを背景に高付加価値の施設園芸が拡がり業績が拡大。また日本初のロックウール栽培システム(培地での養液栽培)など商品も拡充する。
 2000年代に入り事業多角化の苦戦で一時期危機に陥るが、スマート化機器開発に邁進し11年環境監視システム「プロファインダー」を上市。温湿度、CO2、日射量等ハウス栽培に必要なデータを見える化し、さらに4年後には自動で環境制御も行う上位システムに発展させる。
 この後もハウス園芸を効率化する様々なアグリテックシステムをリリースするが、開発のベースは他に類例のない大規模ハウス農場。収集したデータは開発はもとより農家にも還元する。
 勘と経験からデータ型農業への転換に果たした役割は大きく、販売支援や新規就農支援にも積極的に取り組み農業活性化への貢献度は高い。また佐賀市で参画中の農工連携型資源循環事業は全国への波及が期待されており、ハウス農業におけるスマート化の先駆者かつトップランナーとして、今後の更なる発展が期待できる。

イノベーション事業化推進賞
㈱ニッセー
代表者新仏 利仲
所在地山梨県 大月市富浜町鳥沢2022
事業転造機製造・販売・転造部品加工
設立1950年3月
資本金1億円
年商6億円(2025年3月期)
従業員61名
 1939年創業。戦後から転造機の製造を始め、以降転造一筋に技術研鑽と製品開発に力を注ぎ、99年には世界初のCNC(コンピュータ制御)転造機を開発するなど専門メーカーとして発展。
 一方、市場は大きくなく技術応用を模索する中、2003年に塑性加工専門の大学教授から緩み止めねじを転造でできないか相談があり開発に着手。量産が難しかった初代「PLB(Perfect Lock Bolt) 」の開発を経て、構造進化と金型技術確立により、21年「緩まないねじPLBv2」として量産に成功し上市する。
 同ねじは1本のボルトに多条/一条の2種類のねじ山を加工し2つのナットの機械的干渉効果で緩みを防ぐ世界初の製品で、構造特許を取得済。最も過酷な振動試験のユンカー試験で最高位の緩み止め性能を達成するとともに、ワンアクションで締付け可能で現場の作業性が高い、転造による量産で製造コストが低いなど、他の緩み止めねじに比べ多くの点で優位性を有する。また他社転造機でも当社金型で生産可能であり、新たな初期投資無く即生産が可能となる。
 建機・農機を始め新幹線、航空機、鉄道レール等振動に対する強度・耐久性へのニーズは幅広い。転造という既存のコア技術を社会課題の「ゆるみ事故」解決に貢献するイノベーションに昇華させ、金型ライセンスビジネス化も視野に入れつつ、今後の更なる発展が期待できる。

Rapyuta Robotics㈱
代表者モーハナラージャー ガジャン
所在地東京都 江東区塩浜2-4-20 6階
事業自動倉庫をはじめとした物流の自動化プロダクトの開発・販売
設立2014年7月
資本金1億円
従業員191名
 スリランカ出身の創業者2名は東京工業大学で学んだ後、それぞれ海外で別の道を進んでいたものの、日本で再会し、2014年にチューリッヒ工科大のスピンオフとしてラピュタロボティクスを創業した。
 当初はドローンソリューションを軸にしていたが、2018年には独自の群制御AI技術をより活かせる領域として自動化余地の大きい物流業界に軸足を移し、本格参入した。
 2020年にリリースしたピッキングアシストロボットは大手物流企業で採用が広がり、市場で確かな地位を築いている。続く2023年には自動フォークリフトと自在型自動倉庫「ラピュタASRS」を発表。ラピュタASRSは、自動倉庫で生じがちな「保管効率を上げると取り回しが悪くなる」「生産性を上げると保管効率が落ちる」というトレードオフを克服するために開発された。
 薄型AGVが全フロア・全スペースに直接アクセスできる設計により、高密度保管を保ちながら迅速な取り回しを実現。従来では両立が難しかった処理能力(生産性)と保管効率を高水準で同時に達成できる点が大きな特長。また、倉庫構造はアンカーレスで、ブロックのように自在に組み替え可能という点も革新的で、既存倉庫でも導入しやすいものとなっている。サブスク提供や海外市場の開拓にも取組むなど今後の更なる発展が期待できる。


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